床ずれ

床ずれとは
床ずれとは、医学的に「褥瘡(じょくそう)」といいます。
体のある部位が長時間圧迫されたことにより、その部位の血流が悪くなって組織が損傷され、皮膚の一部が赤い色味をおびたり、水ぶくれができたり、皮膚がめくれたり、傷ができたりします。
症状
褥瘡(床ずれ)ができた直後から約1~3週間の時期は、創部が急激に変化するため急性期とよび、それ以降を慢性期とよびます。
急性期
皮膚に赤み(発赤:ほっせき)が持続したり、内出血や水ぶくれ(水疱)ができたり、表皮が剥がれたりします(びらん)。
一部は慢性期に移行せず、赤みが消えて治ります。
慢性期
傷の深さによって治り方が異なります。
浅い褥瘡
死んだ組織がほとんどなく、新しい皮膚をつくる元となる細胞や毛根が残っているため、そこから新しい皮膚が再生し、比較的短期間で治ります。
深い褥瘡
皮膚の組織が死んで(壊死:えし)白色や黒色になり、病変が皮下組織を超え筋肉や骨にまでおよぶことがあります。浸出液が増え、細菌感染を起こすこともあります。
感染をコントロールし、死んだ組織を取り除くことにより、新しい組織が生まれ傷が治っていきます。数ヶ月~1年以上と治るまでに長い期間を要します。

原因
健康な人は通常、睡眠中は寝返りをうったり、長時間椅子に座っているときは座り直したりして、無意識のうちに同じ部位に長い時間圧迫が加わらないようにしています。このような動作を「体位変換」といいます。
しかし、自分で体位変換できない場合、体重で長い時間圧迫された部位の皮膚は血行障害を起こし、細胞に十分な酸素や栄養が行き渡らなくなるため、褥瘡ができます。また、摩擦やずれ(横方向の力)の刺激が繰り返されることも原因となります。
褥瘡ができやすい部位
体内の大きな骨と、床(布団)やベッド(マットレス)や座面にはさまれる部位にできやすく、寝ている体の向きや姿勢によって異なります。
仰向けで寝ている姿勢
- 仙骨部(せんこつぶ:おしりの真ん中)
- 踵(かかと)
- 背骨
- 後頭部 など
横向きで寝ている姿勢
- 腸骨稜部(ちょうこつりょうぶ:骨盤前部の骨が突出する部位)
- 大転子部(だいてんしぶ:太ももの骨が突出する部位)
- 膝関節部
- くるぶし
- 肩 など
座っている姿勢(車椅子など)
- 坐骨部(ざこつぶ:すわった時にお尻の骨が突出する部位)
- 背骨 など

褥瘡ができやすい人
- 長時間寝たきりの人
- 脳血管障害や脊髄損傷などで麻痺(運動障害)のある人
- 糖尿病などの神経障害があって、痛みやしびれを感じない人
- 栄養状態が悪い人
- 皮膚が弱くなっている人(高齢者、排泄物や汗により皮膚がふやけている人、むくみが強い人、抗がん剤やステロイドなどの薬の副作用で免疫力が低下している人など)
治療
褥瘡は数時間と短い時間で発症しますが、治療には長い時間がかかる病気であるため、予防が最も重要です。できてしまったとしても、早期発見が重要であり、毎日皮膚を観察することも大切です。
予防
リハビリテーション
できるだけ自力で動ける状態を維持し、寝たきりの場合は関節がこわばって固まらないように、介護者が患者さんの関節を動かします。
体位変換
同じ部位に長時間体重がかからないようにするため、体位変換をこまめに行います(2時間以内に1回が理想的です)。
体圧分散ケア
クッションや体圧分散寝具(マットレスなど)を効果的に利用します(介護保険を利用してレンタルも可能)。これらを使用している間も、体位変換は必要です。
栄養の評価・改善
栄養をしっかり摂って、皮下脂肪や筋肉がやせ細らないようにするのも大切です。体重変化や食事・水分摂取量、痩せやむくみの状態、消化器症状(吐き気や嘔吐、下痢、食欲不振)の有無などに注意します。
スキンケア
石鹸やボディソープをよく泡立て、ゴシゴシ擦らず、泡で優しく包むように洗い、ぬるま湯で十分に洗い流し、清潔なタオルで優しく押さえるようにして水分をよく拭き取ります。
体を洗えないときは、柔らかい蒸しタオルで顔→腕→体幹→脚の順に優しく拭きます。
最後に、皮膚が乾燥しないように保湿剤を塗ります。保湿は、汗や尿・便の接触による刺激から皮膚を守る効果もあります。
治療
全身管理としては、予防で述べたことが必要となります。
以下は、創部の局所管理として必要な治療です。
洗浄処置
創部とそのまわりの皮膚の汚れや細菌を洗い流す必要があり、生理食塩水や水道水を用いて、できれば毎日洗浄します。ポケットがある場合は綿棒も用います。
塗り薬、創傷被覆材(創部を覆う医療用材料)
創部の状態に応じて、塗り薬や創傷被覆材を選択し、創部がふやけすぎず乾燥しすぎない適度な湿り気のある状態を保つようにします。
感染の治療
創部が感染している場合は、感染を制御する作用のある塗り薬を使います。処置の際に、創部をしっかり洗浄することも大切です。
膿が溜まっている場合には、膿を出す切開処置が必要になります。発熱などの全身症状がある場合には、抗生剤の投与も行います。
壊死組織の除去(デブリードマン)
塗り薬で取れないような壊死組織は、ハサミやメスを用いて取り除きます。
褥瘡の大きさや状態、患者さんの全身状態によっては、手術により広範囲な切開やデブリードマン、再建術(傷を閉じる手術)を行う必要がある場合や、治癒を早めるために特殊な器械を装着する治療を行うことがあります。
これらの場合や、そのほか当院で対応困難な場合は、治療可能な医療機関へ紹介します。
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